【音楽講座】リードシートの作り方 Vol.1

2024年07月21日

こんにちは。ベーシストのTOMまつをです。

前回講座「0.リードシートとは?」では、まずは「リードシート」について簡単に説明しました。今回から具体的なお話をしていきたいと思います。まずは「リードシートの構成」についてです。

演奏現場で起こる大きなトラブルの1つに構成間違いがあります。音楽の性格上、ちょっとした音符の演奏ミスでも、なんとなく不穏な空気が漂ってしまい、お客様に伝わることがありますねー。構成間違いが起きると、その伝わり方は半端ないです。なぜなら演奏している側がとてつもなく不安な状態に陥ってしまうからですね。。。

間違えていない人も、「何が起きた?どう回復する?」となりますし、間違えた本人はかなりの冷や汗状態になり、その後の演奏にも大きく影響したりします。。。

演奏者が譜面から構成情報を読みとる作業とは、肉体的な視点から見ると、目を使った図表の認識作業です。譜面を読む能力を高めることも演奏者の課題ではありますが、構成間違いが起こる原因は、実は譜面の書き方に起因していることも多いです。少しでもミスが減るように「構成情報」をどう記載していくか?それでは譜面を書く視点から見ていきましょう!(譜面を書くと、読む方も上達するかもです。)

以下は本講座のサイトマップになります。


0.リードシートとは?

1.リードシートの構成←今ここ

2.メロディ、歌詞、コードネーム、キーの記載

3.リズムの記載

4.その他(強弱、アクセント等)

※1,2は必須項目になります。
※3,4はリードシートをより分かりやすくするためのオプションになります。


1.リードシートの構成

リードシートの構成情報は概ね以下の記号で表現出来ます。

・小節線
・リピート記号(1カッコ等を含む)、D.S、D.C、Coda
・セクションマーク

※その他の構成記号の詳しい説明は本講座の目的ではありませんので、楽典等を参照してください

※上記は実際にSuper Red Bandで使用されたリードシートです。

●小節線について

譜面を読む作業とは、肉体的な視点から見ると、目を使って図表を見る作業です。
しかも本を読む作業と異なり、一定の、もしくは指揮によって提示されたテンポ、すなわちマイペースでない状況で目で追う作業を行うことになります。
ここでのポイントは、演奏者が譜面から目を離す可能性が少なからずあるということです。

・ギターやベース等のフレッテッドの楽器が指板の位置を確認する
・鍵盤楽器が鍵盤の位置を確認する
・指揮者を見る
・つい目を離す w

こういった所作は、楽器演奏に熟練するほど減っていきますが、音飛びが激しい場合は、念のための確認として行う所作でもあります。そこで、目を離した後譜面に戻ってきたときに、できるだけ分かりやすく記載されていることが重要になります。

基本は1段を4小節単位で記載してみます。これは多くの楽曲がその単位で構成されることが多いためです。

また小節線の縦位置をできるだけ統一してみます。そうすることで、目を離した後に、戻るポイントが認識しやすくなります。各段の小節数が異なったり、小節線の位置がまちまちだと、そこで構成間違いが発生する原因になってしまいます。

※既にお気づきかもしれませんが、実際にサンプルとして掲載している譜面にも、小節線の位置が結構ずれている場所があります。これは譜面ソフトにより音符が入力されている箇所は広く、そうでない箇所は狭くなるように自動調整されているためです。なので譜面を読む立場になって最終確認することをお奨めします。

演奏する側も、視角を広く持って、4小節(4/4の場合16拍)という単位を、数えずとも感覚で理解することが重要になってきます。

※出版されている譜面は雑誌のページ数の都合等で、極力短く記載する傾向にあります。1ページ、もしくは見開き2ページに収めるために、各段の小節数や小節線の位置がやむなく複雑な構成になってしまう場合があります。短く記載することも1つのテクニックですが、目があちこちに飛ぶような譜面は読みやすさからするとデメリットが多くなります。

●リピート記号(1カッコ等を含む)、D.S、D.C、Coda

近頃は、譜面ソフトがかなり普及しており、コンピュータで譜面を作成する方も増えたのではないでしょうか。。。

そんななか、リピート記号を含む楽曲構成情報の記号は、比較的、普通、もしくは小さめに記載されていることもあるようです。意図して小さくする場合(どのような場合かはちょっとわかりませんが、、、)を除き、これらの記号を比較的目立つ大きさで記載してみます私がこれらの記号を書き加える場合、譜面ソフトのデフォルトフォントサイズでは、結構小さくなってしまうので、フォントサイズを調整して大きくするようにしています。

Codaについては、飛び先の小節で、いきなりキメがあったり、転調していたりという事がよくあります。こういう場合は、大概そこでトラブルが起きます。
可能であれば、区切りのよいちょっと前の段階で、Codaに飛ぶように記載し、Codaに飛んだ後、ちょっと余裕がある状況でキメや転調を行うように記載してみると、比較的スムーズにいく場合があります。

※私の場合、頂いた譜面(もちろんコピーです。)上に赤で補足情報を書き加えていますが、記号が小さい場合は、記号自体も赤で書き足します。D.Sには△マーク、Codaには□マークで囲むことで情報を整理します。色で使い分けている方もいらっしゃるようです。以下に、譜面への書き込み例を掲載しておきます。

●セクションマーク

セクションマークについても、基本同様で、文字は基本大きく、そして可能な限り、譜面の左端に来るように記載してみます。セクションマークは、前出のリピート記号等と位置が被ることがほとんどです。たまに、セクションマークはしっかり大きく書いてあるのに、その横のD.Sが、極端に小さかったりすることがあるので、その辺はどちらもしっかり分かるように記載するとより良いと思います。

私の場合、セクションマークには、テキストとしてTheme(テーマ)、Bridge(ブリッジ)、サビ(ここだけ日本語w)等の情報を書き加えるようにしています。リードシートがコード進行と楽曲構成情報のみの場合は、曲がどのように展開するかが分かりづらい場合がありますので、こういった情報も有益です。

では、次回「2.メロディ、歌詞、コードネーム、キーの記載」について説明していきます。